屋根に上がって薪ストーブの煙突掃除

専門業者に依頼? 自分でできる? 薪ストーブの煙突掃除

薪ストーブの性能を維持するためには、定期的な煙突掃除が欠かせません。

「煙突掃除って本当に必要なの?」「いつ、どのくらいの頻度でやればいい?」「料金はいくらくらい?」

この記事では、そんな疑問をお持ちの方のために、煙突掃除の重要性から、最適な時期と頻度、ご自身で行う場合と業者に依頼する場合の比較まで、薪ストーブライフに不可欠な情報を網羅的に解説します。

煙突掃除は絶対に必要?怠ることで起こり得る3つのリスク

面倒に感じるかもしれない煙突掃除ですが、怠ると深刻な事態を招く可能性があります。主なリスクを3つご紹介します。

1. 最も危険な「煙道火災(煙突火災)」のリスク

薪を燃やすと、煙とともに「煤(すす)」や「クレオソート」という可燃性のタール状物質が煙突内部に付着します。このクレオソートが分厚く溜まった状態でストーブを使用すると、排気の熱で引火し、激しい炎を上げて燃え上がる「煙道火災」を引き起こします。煙道火災は非常に高温になり、最悪の場合は家全体の火災につながる深刻な事故です。

2. 暖房効率の低下と燃料の無駄遣い

煙突内部に煤が溜まると、排気の流れが悪くなります。その結果、ストーブの燃焼効率が落ちて部屋が暖まりにくくなったり、薪を余分に消費してしまったりと、暖房性能が著しく低下します。

3. 一酸化炭素中毒などの健康被害

煙突の詰まりは、煙の逆流を引き起こす原因にもなります。排気ガスが室内に漏れ出すと最悪の場合、命に関わる一酸化炭素中毒につながる危険性もあります。

最適な時期は「薪ストーブを使わない春から秋」

煙突掃除に最も適した時期は、薪ストーブのシーズンが終わった春から次のシーズンが始まる前の秋にかけてです。シーズンオフに掃除をしておくことで、 万が一、煙突やストーブ本体に修理が必要な箇所が見つかってもシーズンインまでに余裕を持って対応できます。

専門業者に依頼する場合、シーズン直前の秋は予約が混み合いますが、春や夏なら希望の日時で予約しやすい傾向にあります。真夏の屋根上作業は過酷で熱中症のリスクもあるので、自分でやる場合は真夏は避けた方が良いでしょう。業者も真夏の作業は過酷ですが。。

煙突掃除の頻度は「年に1回」が基本

煙突掃除の基本的な頻度は年に1回です。ただし、別荘に設置した薪ストーブで、年に数回しか使用しないような環境であれば2〜3年に一度の掃除でも問題ない場合もあります。ご自身の使用状況に合わせて、煙突内部や薪ストーブ本体を定期的に点検する習慣をつけると良いでしょう。

DIY vs 専門業者|それぞれのメリット・デメリット

煙突掃除は自分で行うことも可能ですが、専門業者に依頼する方法もあります。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。

 

【自分で掃除する場合 (DIY)】

メリット:

  • 費用を安く抑えられる
  • 薪ストーブと煙突の構造を理解して、セルフメンテナンス力UP

デメリット:

  • 屋根からの転落事故など高所作業の危険が伴う
  • 煤を吸い込んだり、目に入ったりする健康リスクがある
  • 専用の道具(煙突ブラシ、保護メガネ、防塵マスクなど)を揃える必要がある

 

【専門業者に依頼する場合】

メリット:

  • 安全かつ確実に作業を行ってくれる
  • 専門的な機材で、煙突の隅々まで徹底的に綺麗にしてくれる
  • ストーブ本体の点検やメンテナンスも同時に依頼できる場合が多い

デメリット:

  • 費用がかかる
  • 業者との間で日程調整が必要

<安全性を最優先するなら、専門業者への依頼を強く推奨します。特に、屋根が急勾配な場合や、高所作業に不安がある方は無理せずプロに任せましょう>

高所作業車を使って薪ストーブの煙突掃除

煙突形状により作業が困難な場合は、足場を組むよりも高所作業車による煙突掃除が費用面で有利な場合もある

気になる料金相場と信頼できる業者の選び方

煙突掃除の料金相場

煙突掃除の料金は、煙突の長さや形状、設置状況によって変動しますが、一般的な相場は25,000円〜45,000円程度です。

  • 屋根に足場が必要な場合などは、追加料金が発生することがあります
  • ストーブ本体の分解清掃やメンテナンスは別途料金となるのが一般的です

依頼する前には、必ず作業内容と料金の内訳が明記された見積もりを取り、追加料金の有無を確認しましょう。

失敗しない!信頼できる業者選びの5つのポイント

  1. 豊富な実績と経験: 施工事例などを確認しましょう。
  2. 見積もりが明確:作業内容や料金の内訳を丁寧に説明してくれるかを確認する。
  3. 損害賠償保険: 万が一の物損事故に備え、保険加入の有無を確認する。
  4. 専門知識:ストーブや薪に関する質問にも丁寧に答えてくれる業者を選ぶ。
  5. 口コミや評判::実際に利用した人のレビューは、非常に参考になります。

自分でできる!煙突掃除などのメンテナンス

薪ストーブや煙突のDIY設置にも言えることですが、なんでも自分でやってみることは大きな価値があります。自分でやろうと思ったら、ネットなどで情報収集、実際に作業にかかる前にイメージトレーニング、作業を始めると想定外の事態も起こるかもしれません。そしてその都度トラブルに対応していくことでスキルが身についていきます。何事も深く理解することは楽しいことです。

薪ストーブのクリーニングとメンテナンス

準備するもの(効率的な煙突掃除に必要な道具)

煙突を掃除する道具としてブラシやロッドは必須道具ですが、安全面への配慮も怠らないようにしましょう。

<掃除用具>

煙突掃除用ブラシ・ロッド、ワイヤーブラシ、ほうき、ちりとり、刷毛、ヘラ、掃除機、ゴミ袋、ウエス など

<安全用具>

ハシゴ、脚立、ヘルメット、安全ベルト、ロープ、ヘッドライト、防塵マスク、手袋、屋根用の滑りにくい靴、腰袋 など

<養生用具>

ブルーシート、新聞紙、養生シート、マスキングテープ など

煙突掃除のブラシを3種類並べる。上からロッドステーション、ファイヤーサイド、ホンマ製作所。

煙突掃除のブラシとロッドも様々な種類がある。安価なものは数千円程度から手に入るが、耐久性や使用感は値段相応で使用できるシーンは限定的。比較的しっかりしたものを選ぶと2〜4万円程度の価格帯、ロッドも適度にコシがあり使いやすく、耐久性にも優れハードなプロユースにも耐える。電動ドライバーに接続してヘッドを回転させながら煙突内部を掃除できるものもあるが、価格が6〜10万円程度と高額なものが多い。

 

煙突掃除の手順

  1. ストーブ周りにブルーシートや新聞紙などを敷き、必要に応じて壁も養生する
  2. 薪ストーブに接続された室内の煙突を外す(煙突をスライドさせる)
  3. 室内側の一番下の煙突にビニール袋を被せて、袋の口を養生テープなどで塞ぐ
  4. 屋根に上がり、煙突トップを外す(外したトップは下に持って降りてあとで清掃)
  5. 煙突にブラシを差し込み、必要な分だけロッドを延長して、煙突最下部まで下ろす
  6. ブラシの先が煙突最下部のビニール袋まで出たら、ロッドを上下に動かしながら引き上げる(延長ロッドがネジ式の場合はロッドを右回転しながら作業することでロッドの接続が外れるのを防げる)
  7. 外した煙突とトップを清掃し、復旧する
  8. 薪ストーブ本体の清掃・メンテナンスを行う
  9. 煤が溜まったビニール袋を処分して、煙突とストーブを接続し復旧

部屋が煤で汚れないように薪ストーブの周りを養生する

煙突の出口にビニール袋を下げて煤を受ける

煙突トップを外して煙突最上部からブラシを入れて掃除する

重要ポイント

煙突掃除で一番注意すべきは煙突トップ。煙突トップには鳥の侵入を防ぐ目的で防鳥ネットが装着されていることが多いです。この防鳥ネットが煤やタールで目詰まりすると、煙の抜けが悪くなったり、室内に煙が逆流するといった排煙障害が起こります。

室内から煙突掃除をする方法は、屋根に登らなくて済むので安全に煙突掃除を行えるメリットがありますが、煙突トップの状態を目視できないので、煙突トップを完全にクリーニングできないというデメリットもあります。室内から煙突掃除をする場合も、数年に一度は煙突トップの状態を確認することをおすすめします。

煤が溜まった煙突トップ

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